NSITEXE、KMC、Codeplayの三社がHPCやAIシステム向けのRISC-V Vector プロセッサにオープンスタンダードのプログラミング環境を実現

~認知度が高まっているRISC-Vプロセッサに、OpenCL™とSYCL™を実装することで、既存のHPCおよびAIソフトウェアの組み込みシステムへの移植を容易にします~

2020年10月30日
株式会社エヌエスアイテクス

2020年10月30 日 – 革新的なプロセッサIPを開発する株式会社エヌエスアイテクス(以下、NSITEXE)は、本日、NSITEXEと京都マイクロコンピュータ株式会社(以下、KMC)が参加する日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)のプロジェクトにより組込みシステム向けのHPCやAIに取り組むソフトウェア開発者がRISC-Vアーキテクチャ上でThe Khronos Groupの業界定義のオープンスタンダードを利用できるようになると発表しました。

1.本プロジェクトについて

NSITEXEとKMCは、RISC-V Vector Extension (以下、RVV)向けのLLVMの実装と、OpenCLとSYCLのオープンスタンダードの効率的かつ高性能な実装であるCodeplay Software Ltd(以下、Codeplay)のComputeAorta™とComputeCpp™のカスタマイズ作業を同社に委託しています。NEDOプロジェクトでは、研究としてNSITEXEがRVVを利用するOpenCLおよびSYCLコンパイラを開発し、KMCがLLVMとClangをベースにRVVを効率的に利用するためのベクトル構文を実装します。 これらの研究開発は、オープンスタンダード技術を支えるRISC-Vコミュニティに貢献するものです。
CodeplayのOpenCLとSYCLのオープンスタンダード製品を移植することで、AIアクセラレータ用RVVをターゲットにした開発者は、使い慣れたC++を使ってRISC-Vのオープンハードウェア実装をプログラミングしたり、他のAIシステムから既存のコードを簡単に移植したり、ツール、ライブラリ、トレーニング、熟練した人材の豊富なエコシステムを利用することができるようになります。このアーキテクチャを使用したアプリケーション分野は、高性能コンピューティング(HPC)、自動車、機械学習など多岐にわたります。

本開発はNEDOからの資金提供を受け、NSITEXEとKMCが要件定義を行うものであり、自動運転車から気候変動まで、世界で最も複雑な課題を解決するために、高効率で高速な処理を可能にするAIチップの次世代コンピューティング技術を開発することを目標としています。

2.各社からのコメント

京都マイクロコンピュータ株式会社 代表取締役 山本彰一氏は、「Codeplay Software Ltd.によるRISC-V向けLLVMコンパイラのバックエンドカスタマイズをベースに、RVVを効率的に利用するためのベクトル構文を実装することを実現します。コンパイラ開発のリーディングカンパニーであるCodeplay Software Ltd.の経験豊富で熟練したエンジニアと一緒に仕事ができることを喜ばしく思います。」と述べています。

Codeplay Softwareの創設者兼CEOであるAndrew Richards氏は、「AIシステムのプログラミングにSYCL標準を採用することが増えてきており、あらゆる市場セグメントでRISC-Vオープンプロセッサへの強い関心が高まっていることから、このプロジェクトは関係者にとって非常に重要なものとなっています。今回のNSITEXEおよびKMCからの委託は、当社のComputeAorta for OpenCLおよびComputeCpp for SYCL製品でRISC-Vのエコシステムを可能にする、当社にとってエキサイティングな一歩の始まりです。Codeplayは、当社のComputeCpp製品で定義からシステムの有効化まで、SYCLに深く関わっており、すべてのAIアクセラレータを統一されたプログラミングソリューションにリンクさせる唯一のソフトウェア標準であると強く信じています。」と述べています。

KhronosグループのSYCL議長であり、CodeplayのDistinguished EngineerであるMichael Wong氏は、「RISC-Vのような高性能アクセラレータをプログラミングするための標準化が進むことで、AIソフトウェア開発者は、エクサススケールコンピュータからエッジやオートモーティブまで、多くの市場セグメントに高度なインテリジェンスをもたらすことができるようになります」と述べています。SYCLは最新のC++プログラミング言語であり、ソフトウェア開発者は業界が合意した最新の標準を活用し、成長するエコシステムの恩恵を受けることができます。」と述べています。

RISC-V InternationalのCEOであるCalista Redmond氏は、「CodeplayをRISC-V Internationalの戦略的メンバーとして迎え入れることを喜ばしく思います。彼らはRISC-VコミュニティメンバーとしてNEDOプロジェクトに技術的貢献し、オープンスタンダードに基づいたプログラミング言語に焦点を当てているという点で正しくRISC-V Internationalの模範的メンバーであると言えるでしょう。彼らがAI、HPC、エクサスケール、自動車産業にRISC-Vソリューションをもたらすように、我々はCodeplayとNSITEXEによって実現されるこれらの市場でのRISC-Vの成長を楽しみにしています。」とコメントを寄せています。

株式会社エヌエスアイテクスの杉本英樹CTOは、「NEDOプロジェクトでは、RISC-VのVector拡張機能を組込みシステムに利用するためのOpenCLやSYCLコンパイラを開発します。Codeplay社のComputeAortaとComputeCppの技術を応用することで、研究成果をRISC-Vコミュニティに提供することができると期待しています。」と述べています。

3. 各社について

京都マイクロコンピュータ株式会社について
京都マイクロコンピュータは、組込みソフトウェア技術を中心に据え、JTAGデバッガ、コンパイラなどの開発環境を軸に時代のニーズにお応えする製品をご提供しています。マルチコアCPUへの対応、組み込みOS環境での効率的なデバッグ等、今求められる技術、製品を開発するエンジニア指向の会社です。

Codeplay Softwareについて
Codeplay Softwareは、AI、HPC、車載分野で使用されるアクセラレーション技術を可能にする世界的なパイオニアです。Codeplayは2002年にスコットランドのエジンバラで設立され、複雑なソフトウェアをグラフィックプロセッサを使って高速化できるツールを最初に開発しました。今日、ほとんどのAIソフトウェアはビデオゲーム用に設計されたグラフィックプロセッサを使用して開発されていますが、最近ではAIやコンピュータビジョン用の特殊なアクセラレータも開発されています。Codeplayは、オープンスタンダードベースのプログラミング言語を使用して最新の複雑なAIシステムをプログラミング可能にし、アプリケーション開発者が迅速にソフトウェアを市場に投入できるようにするために、グローバルなテクノロジーリーダーとの連携を続けています。 また、Codeplayはオープンスタンダードの定義にも深く関与しており、特にKhronos Groupを通じたOpenCL™、SPIR™、SYCL™、Vulkan™、自動車用のMISRA C++の定義にも力を入れています。

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